蔡クリニックに来院される患者さんの心理には、大きく分けてふたつのタイプがある。
第一のタイプは、口コミ、本、インターネットなどで、蔡クリニックの治療法の優秀性を知り、信頼感をもって来院される方。現在、来院者の9割程度がこのタイプの方だ。
第二のタイプは、複数の病医院で次々診療を受けたが良くならず、蔡クリニックにたどり着いたものの、それまでの経験で疑い深くなり、治療に先入的不信感をもっている方。昔は5割方がこの疑い深い患者さんだったが、現在では、このタイプは1割ほどに減った。
病医院を何度も変える、いわゆるドクターショッピングをしても良くならず、新たに受診する医師に懐疑的な患者さんは、蔡クリニックの来院者に限らない。Dr.Tsaiが中国で診療した広東省のある市の市長も、そんな疑心暗鬼に陥った方の典型だった。
その市長は、20年間乾癬に悩まされていた。
発病以来、複数の西洋医学や中国医学(漢方)の医師の診療を受け、さらに民間療法なども数々試したが一向によくならず、長年の病歴を重ねた方だった。
Dr.Tsaiは中国に出張した時、紹介者を通じ、その市長に診療を頼まれた。診察してみると、市長の乾癬は広範囲に広がった重症だった。初めて診察したDr.Tsaiに、市長がたずねた。
「先生、どうでしょう。私は治るでしょうか」
Dr.Tsaiは答えた。
「治ります。あなたの場合は病歴が長く、体内に乾癬の原因になっている毒素が、多量に蓄積されています。ですから、治療にもそれに応じた日数がかかりますが、私の治療法なら必ず治ります」
しかし、その答えを聞いても、市長の表情は晴れなかった。
ドクターショッピングを重ねた市長は、それまで何人もの医師から、初診時に同じ答えを聞かされていた。「治ります」という言葉は耳にタコができていて、その答えだけでは疑心暗鬼が消えなかったのだ。
市長は、さらにたずねた。
「蔡先生の治療は、どんな療法なんでしょうか」
Dr.Tsaiは、外科鍼灸療法、吸引療法、内外狭攻法など独自の治療法と、そのベースになっている医学理念を丁寧に説明した。
真剣に耳を傾けていた市長は、深くうなずいていった。
「うーん、私がいままでに経験した、効果のない治療法とは全くちがいます。
先生の治療、ぜひお願いします」
乾癬にお手上げの迷医にしか出会えず、長年のうちに凝り固まった市長の不信感が、
やっと溶けたのだった。
その後5か月間Dr.Tsaiの治療を受け、頑固な乾癬も今では6割方治り、
市長は性格も明るくなってきている。
病気は人の心理にも影響を及ぼす。しかし、病気を克服するのは結局患者さん本人。いたずらに疑い深くなりすぎず、本物、真実を感知する冷静さを保つことが第一歩だ。